カリフォルニア帝国からアメリカ就職の闇を語るSEO屋さん(?)について

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ときどきツイートが流れてくるのですが、例えば次のようなものです。

この人はアメリカ就職は超厳しいと言い続けているそうです(フォローしていないのでRTで流れるのしか読んでいない)。もちろんアメリカ就職はそう難しいわけではないけど、ここまで強調して言うとさすがにそれが違うだろうと思います。

まずこのツイートの例について言うと、サンプルの数人は

  • アメリカの大学を卒業(大学院ではないらしい)
  • 日本でなら外資系コンサルとかAppleとかジョンソン・エンド・ジョンソンから内定を貰える程度に優秀
  • アメリカでの就職活動は全滅、小さい企業すら受からない

とのことです。

日本人を含む外国人がアメリカで仕事を得るには次の要件が必要でしょう。

  1. 就労許可(ビザ)
  2. 英語力
  3. 業務能力

就労許可

ここでいちばん重要なのは就労許可です。まずこれがないと始まらない。就労許可は偶然アメリカで出生しているとか、親がグリーンカード取ったから本人も永住者とかのケースを除くと就労ビザを取れるかどうかということです。最近難化するという話もあったけど、ソフトウェアエンジニアはなぜか学部卒でもH-1Bビザを取ることができますが、一般的には学部卒ではH-1Bビザは取れません。ですから、学部卒であるという時点でビザの対象外になりますから企業は雇いません。アメリカは転職が普通だけど、STEM Extensionもない学部卒の学生のOPTでは1年しかいられないので、その条件で雇うところはコントラクターがほとんどでしょう。コントラクターでも面倒くさいから雇わないかも知れません。

この「めんどうくさい」というのも厄介なところで、法的には働けますといくら主張しても担当者が無知だとよくわかんないからダメと言われることもあります。ここはかなり英語力を発揮して交渉しないといけませんが、たとえ大学時代をアメリカで過ごしているとはいえ、ネイティブとの英語力の差は雲泥です。ふがふがと「ワタシ オンシャガ びざさぽーと シナクテモ ハタラケマース」とか言っても追い返されるのがオチでしょう。企業によってはHビザですら断ることもあります。規模的にHビザ出せる程度の会社であってもです。ですからアメリカにおいて永住権は永住するかどうかに関わらず、たとえ3年程度で日本に帰るつもりであっても就労許可的な意味で取っておいたほうがいいかも知れません(永住権を取得すると面倒なこともあるので無条件にはおすすめしません)。

ちなみに学部卒でアメリカ企業に就職した外国人の例はそれなりにあります。うまく交渉できれば雇ってくれるところもありますが、OPTが切れたらそこで雇い止めとなり帰国していきました。

英語力

学部卒なのでビザが適格ではない問題をなんとかして解決したとしましょう。ここでは日本での内定先からおそらくビジネス系の人材であったと仮定します(アップルジャパンはエンジニアいるのかな)。例えばMBAを取ったとしましょう。

アメリカ人を雇うのに比べて、多少の上手い下手はあってもどんぐりの背比べの英語力も問題です。雇う企業から見て、英語がネイティブに比べるといまいちな人を雇うメリットがあるかどうかです。ほとんどの日本人はないと思いますから雇われないのは当然です。

もし日本人をあえて雇おうとするのはどういう場合か、相手の立場になって考えてみます。日本企業勤務の日本人から見て中国人とか韓国人を雇いたいのはどういうときかに近いと思います。まずは顧客が日本人とか日本企業の場合は日本人のアドバンテージはあると思います。あるいは日本支社との調整役とか。日本支社の社員は英語があまりうまくないので通訳的に必要だとか、そういうケースです。そうでない場合はあえて日本人を雇うメリットはあまりないでしょう。

一般的にMBAでのアメリカ就職は超大変です。例がないというわけではありませんが、かなりみんな苦労しています。

ここでも例外はエンジニアで、少なくともSFベイエリア(シリコンバレー)ではエンジニア人材は不足していますので、多少英語がフガフガでも技術があれば雇われることもあります。

業務能力

これは前述の通りで、日本人であることのメリットを活かせる職場とか、人材不足で外国人の手でもいいから借りたい職場ならばチャンスがあります。そんなところそうそう見つかるか?というと、あるんですよ。GoogleとかAppleでも日本人のコントラクターを雇っています。業務内容は日本語によるチェックとかですね。Siriとか。

コントラクターは嫌だとなると少し豆に探さないといけません。ロサンゼルスあたりだと日本人相手の商売も多いと聞くけど、どうなんでしょうね。

件のSEO屋さんについて

冒頭でも触れましたが、件のSEO屋さんはアメリカ就職が難しい難しいと言い続けています。これがどういう意図があるのかはあまり観察していないからわかりませんが、個人的にこれは嫌だと思う可能性は日本礼賛です。いわく「日本で残業残業、ブラック企業、低賃金、不安定な雇用で超厳しいって?それは甘えだよ、日本は世界で一番素晴らしい国なんだ」的なポジショントークをするやつがいます。もしその口であったとしたら、そういう情報は遮断したほうがいいです。

アメリカは楽園でも約束の地でもないけど、移民国家であって外国人でもそれなりにチャンスのある国です。ひとたび就労許可と一定の英語力を手に入れるとブラック企業と出くわすことは激減します。これは別に述べたいのですが、アメリカにもブラック企業というか、現代でも奴隷制度が残っている面もあります。就労許可とか英語力がないから逃げられない人を悪い条件で使い倒すやつはアメリカにもいます。でも就労許可や英語力、業務経験を積んで選択肢が生まれるようになるとブラック企業とはおさらばです。

なぜ日本にブラック企業ははびこっているかは単純なことで、大多数の日本人がブラック企業を甘やかしているからです。例えば正当な残業代を請求しようとすると「そんなことしたら会社が潰れてみんな徒労に迷うんだぞ」と足を引っ張る社畜がいっぱいいるんです。外国人実習制度の闇でも

別の農家の男性は 「そりゃあの子たちも、お金のいいところに行きたいだろう」と、外国から来た若者たちへの同情を示しつつ、「時給を上げれば人が来るかって? 時給千円にしたら経営が成り立たないし、そんな仕事があれば自分が雇われたい」と言った。

「実習生が逃げていく島」町民があえて監視を置かない「深い理由」

経営が成り立たない会社は市場から撤退すべきだと思うけど、多くの日本人の考え方は江戸時代のお家制度みたいなもので、お家存続は家臣の命よりも大事なように見えます。日本人の大多数が「給料払うと潰れる?じゃあ潰れたら?」って考えに変わればブラック企業は消えます。いや、アメリカみたいに逃げられない外国人を使って生き延びるブラック企業もあるでしょうが、日本語ができて日本国籍のある日本人はそういう企業とは無縁になります。

移動の自由のあるアメリカの労働者は会社がクソならすぐに辞めます。クソな会社は改善するか倒産するしかないのです。また人材は流動的なので日本のように雇うときに40年面倒をみる覚悟とかそんなのはありません。ポジションに空きがあったら補充するくらいなので、このSEO屋が言うほど就職が難しいわけではありません。難しいとしたら前述のような理由が大半でしょう。戦略的に行動できないと厳しいのです。

二番目のツイート

についてもいろいろ胡散臭くて、例えばエンジニアの面接で人事が出てくることはありません、普通。人事のお仕事はインタビューの通知をするなどの裏方で、この人の言っていることは普通のアメリカとはかなり異なるように思います。他にも事実誤認とかいっぱいあります。もしかするとアメリカにいるとか経歴については「設定」なのかも知れません。なんのためにやっているかは知りません。信者ビジネスをしたいのか(第三者だからリンクしないけど「アメリカでは日本企業のように新卒一括採用じゃないからそもそも内定とかない」みたいな支離滅裂なコメントつける支持者をいっぱい獲得したいとか)、自分のWebサイトに人を呼び込みたいのか、日本マンセーしたいのかわかりませんが、いずれにせよ不正確な情報を発信している人だなあという印象です。