アメリカのソフトウェアエンジニアに冬の時代は来るのか?

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こんなツイートを見ました。

この人は株屋ですから、株価が下がる→レイオフの嵐がソフトウェアエンジニアを襲うという安直な見方をしているフシがあります。短期的にレイオフが増える可能性はあると思いますが、2番目のツイートの「スタンフォード大学でコンピュータ・サイエンスを専攻する学生は恐ろしい勢いで膨張しています。みんな(それが正しいキャリアに違いない!)と盲信しているから。でもそれは将来の供給過剰を引き起こす」については懐疑的です。

いくら多くの学生がCSを専攻しても大半の学生はものになりません。IT業界がバブルになる前から好き好んでCSを専攻していたのは、三度の飯よりコンピュータが好きなやつが多いでしょうから、ブームだからとか金になるからという理由で新規参入してきた学生は二流以下が多いと思います(収穫逓減の法則)。稀に数学の天才がCSに来ちゃったなんてこともあるかも知れませんが、ちょっとやそっとCS専攻の人が増えたところで大勢には影響はないでしょう。プログラムを書く能力というのは、スポーツ選手とか芸術家に比べたら多いけれど、どちらかというと特殊技能に属する種類のものです。勉強するやつが2倍に増えたところで、役に立つやつは1.1倍くらいにしか増えないでしょう。

僕はスタンフォード大学には通っていませんので、スタンフォードの人というとその卒業生しか知りません。その卒業生はできるやつが多いのですが、これはスタンフォード大学が優れているからなのか、たまたま優れているからソフトウェアエンジニアをやっているやつばかり知っているかはわかりません。普通の大学でCSを専攻している学生は何人か知り合いがいますが、100人いて、ものになるのは1人か2人です。大半の学生はTAに宿題の答えを写させてもらってなんとか単位取っていて、その割に就職活動ばかり頑張っているような人です。知り合いのTAが言うには、やる気のない学生にやり方を教えても煙たがられるだけで、それより早く答えを教えてよって態度なので、面倒くさいからさっさと答えだけ渡して追い返すそうです。やる気のあるやつはそもそも質問に来ないとのことです。

一方で需要側については景気後退とともに激減する可能性はあります。好景気のときはプロダクトできていなくてもアイディアだけ投資家に語るだけで数千万円くらいのお金がぽんと出ることもわりとありました。これで雨後の竹の子のごとくスタートアップが生まれ、そこで雇用が生まれます。不景気になるとこうした「質」と「量」で量を求めるような会社は激減するでしょうから、就職口が減って苦労する人もいるでしょう。

しかしながら、広瀬さんではないけれど、株屋の意見を見ていると、ちょっとAI企業の株価が下がっただけで「AIは結局偽物だった」とか「自動運転車なんて何年経っても実現はしない」とか極端なことを言い始めます。本気で考えてそんな事あると思いますか?たとえばスマートフォンには山のようなAIが乗っています。カメラもAIが補正するし、音声認識したり、翻訳をしたり。これらの実績があるものがただの幻想であったみたいなことは決してありません。思いつきでネットサービスやっている雨後の竹の子企業はともかく、ある程度ちゃんとしたプロダクトを作っているところはそれなりにポジションは維持されるでしょう。そうしたポジションに就けるくらいの人はそれほど恐れなくていいのではないかと思います。

ですから、供給過剰による冬の時代はあまり気にしなくていいと思います。好景気のときは大したことなくても採用されたやつが不景気になると苦労するという意味なら彼の予想は当たりだと思いますが、それは当たり前のことすぎて論じる価値がありません。いまソフトウェアエンジニアとして平均より上のところにいるのであれば、それほど心配しなくていいでしょう。