シリコンバレーのエンジニア給与相場が想像の倍ぐらい高いのは一部かも知れない

広告

シリコンバレーのエンジニア給与相場が想像の倍ぐらい高かった」というエントリがありました。

これを読んで技術のある人はどんどんアメリカに来たらいいのに、と思う一方で、「シリコンバレーでは、ある程度の経験を積んだソフトウェアエンジニアの年収は3000万円に容易に達しうる」というのは少し誇張しているかなと思うのです。Googleのシニアエンジニアだと30万ドルくらいを基本給+キャッシュボーナス+株で貰うと言われていますが、逆に言うとGoogle級でないとそこまでは届きません。

生活費の高さについても言及されていますが、むしろ高いと思うのは税金です。日本で働いていると、普通の人にとってはそれほど税率は高くないと思います。アメリカのソフトウェアエンジニアやそれ以上の報酬を得ている人の場合は、だいたい額面の半分が手取りという感じになります。15万ドルの給与がある場合は7万5000ドルくらいです。さらにそこから生活費を引いていくので意外と豊かさはありません。

それより気になったのは、この記事へのはてなブックマークコメントです。いくつか引用します。

CSなしの平凡はプログラマは800万円くらいらしい(どっかのエンジニア年収調査より)

アメリカ人の場合はビザに縛られないので、その条件でも働きますという人はいるかも知れませんが、H-1Bビザだと給与要件があるので800万円の年収ではビザが下りないのではないかと思います。実際には色々裏技がありますのでこの給与でビザを取得もできますが、一般的ではないということです。

シリコンバレーで野宿するエンジニアが最強なのか

これは割と真面目にありだと思います。会社の駐車場にキャンピングカーでも置いて、ネット、食事、シャワーなどは全部会社の設備を使えばほぼ生活費0でも生活できます。格安ジムでもシャワーくらいは使えるし、ハッカー道場のソファーで寝るとか、ハッカソンやミートアップで食事を採るとかすれば、限りなく生活費を抑えて生活することができます。

株価が右肩上がりだとgrant時の想定より高くvestされるので一層有利。日本と違い企業側に給与を横並びにする動機が薄く、人の獲得競争も激しい為平均的な人々より多少できるだけでこの2-3倍貰えたり。あと米は税金安い。

税金安いはほとんどの人にとっては大嘘です。日本で最高税率で働く人(所得税+住民税で55%)なら渡米して安くなったと思うかも知れませんが、そういう人は稀でしょう。なんでろくに知りもしないことを調べもせずに知ったかぶりするのかなー。

実際どんな仕事して3000万なのか気になる。稟議書もなにも作らずひたすらゴリゴリ書いてるだけで3000万貰えるのかとか

ゴリゴリ書いているだけで仕事と認められるポジションは多いと思います。稟議書なんて書いたことないです。

だがしかし、小さなワンルームマンションでも家賃50万円以上という罠。

ワンルームはstudioと言うけど、2500ドルくらいであるでしょう。他にユーティリティという光熱費のような費用がかかります。小さなと言っても結構広いし、大抵はプールとかジムも付いています。かなり多くの人が憶測で書いている感じ。

私はシェアで1000ドルの家(プライベートバスルーム付き)に住んでいますが、もっと安くシェアで住むこともできます。基本的に自炊しかしないし、高額の買い物をしない月は1400ドル未満で生活しています。前述のように食事を全部会社で済ませるなどすればさらに出費を圧縮できます。

家賃がバカ高かろうと保険が貧弱だろうとコレだけ貰えれば十分だよね

保険が貧弱というのもイメージだけで書いているようですね。会社にもよりますが、保険はいくつかのプランの中から選びます。健康に問題のない人なら保険料は安いけれど自己負担額も多いような保険を買うでしょうし、重い病気のある人は高価な保険を買います。保険にはネットワークというのがあり、行きたい病院が自分の保険のネットワーク内でないと保険が利かない問題がありますが、ネットワーク内であれば名医の治療も常識的な価格で受けることができます。

よく日本で重病の人がアメリカで治療を受けるために何千万円必要ですと募金をしていますが、アメリカの医療は日本以上に高水準だと思います。そして保険があればそうした治療も受けられます。日本も国民皆保険のように言われていますが、保険料はかなり高い上に、正社員や公務員は強制的に加入であるものの、非正規雇用の人は無保険の人もたくさんいます。また混合診療が認められていないため、効果的な治療を受けられないなど問題があります。こうして比較するとアメリカの保険制度が貧弱と言われるほど一方的にひどいわけではないでしょう。


ブックマークコメントはそれほど真剣に書くようなものではないにせよ、「アメリカは税金が安い」「小さい家でも家賃が50万円」「保険が貧弱」など明らかに間違っていて、ちょっと調べれば正しいことがわかるようなことを書いている人が散見された印象です。幸いにして日本は暮らしいい国なので、比較検討して日本で働こうというのであれば悪いことではないのですが、誤解に基づいてあれこれ言っているのはあまり建設的ではないと思うのです。