アメリカの株高を支えている(かも知れない)401k制度について

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ずいぶん前にアメリカのダウ平均が12,000ドルくらいのときに日経平均が14,000円台だったような気がします。今はダウが21,000ドルで日経平均は20170円ですから、単純に伸び率で言うと日経平均よりダウのほうがいい結果を出しています。将来、日経平均が20,000円程度でウロウロしているのにダウが30,000ドルにリーチしていても別に驚きません。

アメリカの株高はアメリカ企業の好業績によって支えられている面もあるのでしょうが、もう一つは投資家の性質によるものがあると思います。日本では貯蓄から投資へと言っても思うようには進みません。かつてのライブドアショックで個人投資家をかなり痛めつけてしまって以来、機関投資家、個人投資家、外国人投資家にざっくり分けた場合、個人投資家がごっそり減ってしまったことが一因かと思っています。私も日本の未成熟な資本市場で投資をしようとは思わないし、また30年近く経済成長していない上に、将来はロスジェネ世代が無年金のまま高齢者になるなど、将来的にも日本経済が成長しそうにないこともあります。

中国ですら2030年には一人っ子政策の影響で人口減少、高齢化社会に転じると言われています。中国は人口が伸びている時期に文化大革命とか馬鹿なことをしていて人口ボーナスを活かしきれなかったことが今後は重くのしかかってくるでしょう。しかしアメリカはまだ人口増加社会だし、最新技術や勢いのあるスタートアップなど今後の経済も明るい見通しです。

ざっくりシミュレーション

さて、最近はまともな会社に転職したこともあり、401kに入っています。自分の給与額とかは書きたくないので、架空の新卒の修士号持ちのエンジニアを想定してみましょう。彼あるいは彼女は24歳で、初任給は平均的なシリコンバレーの給与である10万ドル(1,100万円くらい)の会社で働いています。一般に信じられているのとは異なり、アメリカは日本のような自己責任社会ではなく高福祉高負担社会ですので、彼は連邦税25%、州税10%の合計35%の税金を払いますので、35,000ドルの税金を払うことになります(大雑把な計算です、他にソーシャルセキュリティー税とかあります)。これはいかにも高いです。

そこで401kが登場します。401kはRoth 401kなどありますが、ここでは伝統的な方の401kを扱います。2017年度は最大18,000ドルまで401kで控除の対象にできます。そこで彼は18,000ドルを401kに入れることにして、課税所得を82,000ドルに減らしました。これでおよそ6,000ドルの節税になります。彼は毎年401kに18,000ドルのMAXを放り込んでいきます。10年後に彼の401k口座の残高は18万ドルに膨れ上がっています。

実際には401kは現金で置いておくわけではなく、色々なプランを選ぶことで投資に振り分けることができます。ここでは比較的無難なヴァンガード社のファンドで2050年安心退職プランを買ったとします。このファンドは平均すると年8%くらいの割合で資産が増えます。

彼は社畜にはなりきれないので10年後の2027年に仕事をやめます。辞めた時点での401k口座の残高はおよそ30万ドルに上っています。

401k口座は基本的には59歳まで出せないので、そのまま2053年まで寝かせることにします。新規の入金はありません。2053年の時点で401k口座の残高は順調に行けば220万ドルくらいになります。10年しか働いていないのに老後に2億円以上あるのです。おそらく貰えないであろう日本の国民(厚生)年金とは違って夢のある話ですね。

このようなアメリカのやたら高い税金と、その節税効果、さらに続くアメリカの株高感があるためみんなせっせと401kにお金を入れて株で運用するのです。このことがアメリカのさらなる株高を呼んでいい感じで循環しているのがアメリカの株式市場というわけです。日本と違ってアメリカの株は一時的に暴落することはあっても数年もすると元通りになって、やがて利益を生むのでギャンブルではなく堅実な投資と言えます。日本は日経平均7,000円〜20,000円のボックス相場が続いています。

さて、401kには伝統的な401kの他にRoth 401kというのがあります。引退時に30万ドルある彼の口座から、Roth 401kの口座にお金を移すこともできます。Roth 401kは所得が控除対象にならない一方で、引き出す際には税金がかかりません。401kの場合は引き出したときに所得税がかかります。

彼は10年働いたあとはニートになるので無収入です。ここで401kからRoth 401kに年間3万ドルずつ移すことにします。401kから出したお金には所得税がかかりますが、年間所得が3万ドルなのでエンジニアをしていたときよりはずっと税金が安くて済みます。これを10年以上かけて少しずつ移すことで最小の課税で401k口座からRoth 401k口座にお金を移すことができます。Roth 401kは401kと違って定年まで待たなくても5年後には引き出すことができます。もちろん定年まで福利で増やしたほうがお得ではありますが、彼は隷属を嫌い自由を手に入れるために仕事を辞めたためにお金が必要です。

実は彼はアメリカ人ではなく日本人だったとしましょう。34歳で仕事をやめて、ある程度の貯蓄と30万ドルの401k口座の年金がある状態で日本に帰国します。日本はアメリカよりずっと生活費が安いため、適当にネットでビジネスでもしながら、足りないお金は貯蓄を食いつぶして、それでも足りない場合はRoth 401kの口座からつまんで生活することができるでしょう。34歳で「あー、俺、もう一生稼ぐ分は稼いじゃったから、あとは悠々自適に生きるよ」って言えるのはなかなか素敵な人生だと思いませんか?日本の就活生が定年後に何とかとか言ってるのを見たことがありますが、20代前半の人が60歳過ぎたあとで自由が手に入るまでは社畜生活を送る覚悟をしているよりずっと潤いのある人生のような気がします。

このモデルは別にFacebookの創業期にジョインしてミリオネアになっちゃったようなラッキーな話ではなく、新卒で10万ドルの普通の会社で10年働いた場合にシミュレーションです。かなりざっくりした計算なので10年では無理かもしれませんが、40歳までにはこのように引退することもできる気がします。

このようなニートの夢に支えられて今日もアメリカの株は右肩上がりに伸びていくのですね。今後、何らかの大きな事件があって、リーマンショックのときのようにドカンと株価が下がることはあるかも知れません。それでもアメリカ株は2, 3年で元通りに回復して、また力強く伸びていくと思います。

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