トランプ政権では就労ビザ(H-1B)発行で抽選方式を廃止するそうです

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アメリカ就職を目指している人の間では激震となっていますが「トランプ新政権、H-1Bビサ発行で抽選方式を廃止・新方式では高給者から発行」というニュースが飛び込んできました。

現在、H-1Bビザは65,000しか発行されません。アメリカで高等教育を受けた人だけの枠がさらに20,000あり、また研究機関向けのH-1Bビザは枠の対象外です。この限られた枠に、私が申し込んだ年は23万もの応募がありました。優秀でも25%の枠に入れないとビザは取れませんし、私のようなのでも運がよければビザが取れていたわけです。今までは。

今後は高い給与を出す順番にビザが承認される見込みです。つまりGoogleなどのIT系大企業は人を取り放題だけど、文系職ではほぼビザが出ないということになりそうです。トランプ次期大統領はアメリカの雇用を取り戻すことを標榜していますので、彼の公約からすれば正しいことです。

予想される影響

Googleなどの巨大IT企業の場合

65,000の枠をいっぱいまで使うことができます。今までは優秀でぜひ雇いたいと思っていたのに抽選で落ちてしまって雇えなくなった人材を雇用しやすくなります。とは言え、もともとGoogleのような大企業の場合は世界中にオフィスがありますから現地で人を雇えばいいのです。主に地元で働いてもらいつつグリーンカードの申請をしておけば、2年ほどでアメリカに来ることができるのでさほど問題ではないかも知れません。

IT系企業は未だに人材不足ということもあり、アメリカ人だけでは雇用が埋まらないと思いますので外国人でもGoogleとかMicrosoftに応募できるような人の場合はむしろ追い風ということになりそうです。

IT系スタートアップの場合

スタートアップ(ベンチャー)企業は大企業ほどは給与を高く払えないことが普通です。その代わり株やストックオプションなどのエクイティで賄う傾向にあります。うまく会社が上場したり大企業から買収されたら一財産築けるということでドライブする人が働いています。もちろん「俺が世界を変えてやるぜ!(kool aidを飲む)」という熱い志で働いている人もいるかもしれませんが、給与水準や福利厚生などはどうしても大企業に劣ります。したがって、大企業が積極的に人を雇った場合にはスタートアップはビザを発行できないことになります。また、スタートアップのオフィスは地元アメリカにしかないことが多いため、ビザが出せないからしばらく海外支社で働いてよというわけにもいきませんから向かい風です。優秀な人材を取りにくくなり開発がスローダウンする可能性もあります。

一方でスタートアップはシステムが柔軟であるため、在宅での仕事を認めてもらえることも多いでしょう。その場合は住居がどこであってもかまわないので、外国にいても仕事ができるかもしれません。たまにどうしても顔合わせが必要なときは一時渡航で何とかして、基本は働いている人の母国で仕事をして、その人の国の政府に税金を払うことになります。アメリカ企業の税金が国外に流出することになりこれはトランプ的にはややマイナスかな。

状況に応じて柔軟に戦略を変更できない頭の固いスタートアップは淘汰されていくと思います。そんな頭の固いスタートアップあるのかいな?と思うかもしれませんが、意外とあります。こういうところはスタートアップというよりスモールビジネスと呼ぶべきかも知れませんが。

マーケティングなどの文系職の場合

今の賃金ではH-1Bビザを新規発行できなくなりますので、アメリカ人の雇用を推し進めることになります。これはトランプにとって手柄と言えるでしょう。外国人に盗まれていたアメリカの雇用を取り戻す!と宣言してその通りになります。

問題はアメリカ人だけでマーケティング職などの需要が満たせない場合です。この場合、まず緩やかに賃金が上がります。すると今までマーケティング職には興味のなかったアメリカ人がマーケティング職に就くようになります。おそらくこの段階で需要は満たされるので外国人にまでチャンスが回ってくることはありません。テック系並に給与が高騰して初めて外国人がこの分野でH-1Bビザを申請できるようになりますが、それはないと思います。今の給与のままでもアメリカ人だけで雇用を満たせると思うので、アメリカ人勝利!となりそうです。

どうしても日本人など特定の国の人がほしいという場合は例外的に給与をはずんで何とかすることになります。

文系職はそれ以前にテック系に比べて外国人には不利です。まずテック系は大学卒(学部卒)でもH-1Bビザの申請ができますが、文系職では修士号以上を持っているか、実務経験がある程度ないと申請できないと聞いています。つまりMBAなどの高等学位を取ってくる必要があります。しかしながら、MBA持ちの仕事というのは言葉を使った仕事が多いので外国人で英語が不自由な場合はMBAがあってもアメリカ人のMBA持ちに競争で負けることが多く、この分野はアメリカ人の雇用が進むでしょう。

法律職などの高給文系職の場合

テック系以外は全滅かと思いきや、弁護士などで文系の専門職で高給を取っている仕事も食い込んでくる可能性があります。これも、例えば日本の法律に詳しいアメリカで働ける弁護士のような特殊なポジションになりますので、アメリカ人の雇用を奪うわけでもなく、トランプ的にもOKだと思います。

既にH-1Bビザを持っている人の場合

私がこのカテゴリになるので非常に気になっています。

ポジティブなシナリオとしては、Googleのような大企業以外はH-1Bビザを出せなくなることで、アメリカ人技術者か、既にH-1Bビザを持っている技術者のどちらかを雇用する必要のある企業が増えてくると思います。テック系では技術者は不足しているので、アメリカ人技術者だけで賄うことは難しく、いまいちな人材にまで手を出すのなら外国人でもいいかという企業が増えてくるとしたら私には追い風です。

ネガティブなシナリオとしては、単に抽選方式をやめるだけではなく、既にH-1Bビザを持っている人のビザの継続要件も厳しくしていくことです。その場合は私のビザが維持できなくなり、泣く泣く日本に帰ってニートに戻ることになります。

Infosys問題とは

H-1Bビサがこの新方式に切り替わった場合、Infosysなどの低賃金のインド人を米国企業に派遣している企業は、H-1Bビザの取得ができなくなり、結果的に、H-1Bビザの低賃金外国人技術者のために米国内の技術者が失業するといった社会問題の発生も抑えられることになる。

トランプ新政権、H-1Bビサ発行で抽選方式を廃止・新方式では高給者から発行

とありますが、トランプを怒らせたかも知れないこのInfosysとは何でしょうか。Infosysはインドのアウトソーシング企業です。

当たり前ですがH-1Bビザは抽選があるとは言え、一人一申請しかできません。倍率高いから10ほど申請書を出しちゃえというわけにはいかないのです。しかし会社はビザをサポートできる人数の上限はないので、例えば10000人にビザ申請をして、確率的に2500人くらいはビザが取れますのでその人に仕事を投げます。こうやってビザを持った社員を大量に抱えたインド系企業が安い賃金でアメリカ人エンジニアの職を荒らしている、とあちこちから批判されています。この手の会社は法の抜け穴を熟知(例えばハーフタイムで申請しておいてフルタイムで働かせれば最低賃金の半分でエンジニアを使えるとか、申請した業種とは違う仕事をさせるとか)していて、うまいことビザを取らせて安い賃金で働かせると同時に、申請数が非常に多いため問題視されています。

これは2012年のデータですが、Approvedで1万近いというのはすごい数です。GoogleやMicrosoftの何十倍もの規模ですね。

結婚による永住権取得が増えるかも

こうしてH-1Bビザという、アメリカ移民への着実なステップを潰されてしまうと取りうる手段はそれほど多く残されていません。

Eビザを出すというのも一つの手でしょう。これは日本などのEビザ対象国の企業と従業員に対して発行されるビザで、簡単に言うと10万ドルくらい人を雇ったりオフィス借りたり備品買ったりしてお金を使えばビザが出ます。5万ドルでも出るという噂もありますが未確認です。10万ドル使えば大丈夫だというのが経験者談。なお、日本の大使館でEビザを申請すると高くなる傾向にあります。日本は富裕国なので日本国内でビザを申請する場合は相場が高く、アメリカ国内で申請すると途上国の人が頑張ってるケースもあるので安くなります。Eビザを使えばラーメン屋などのH-1Bビザが無理な業種でもアメリカで就業可能です。

Eビザも会社を作ってお金をまず使うというステップが重たいため、ごく普通の人に残された、なおかつ強力な方法は結婚による永住権取得です。女性の場合はかなりこれが増えると思います。男性の場合は下手な英語で口説くのは難しいので、英語が超上手いとか、あるいはそれをカバーする何か魅力があればできるかも知れません。