10人欲しい職場に8人しか雇う金がなく9人が求職している状況

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各のケースで違いはあるので十把一絡げに言うのは無理だと承知しているけど、日本のいまの問題点って10人欲しい職場に8人しか雇う金がなく9人が *まともな* 仕事を欲しがっていることにあると思う。数字は適当だけど、支払える人件費<求職者<必要な労働力になっているはず。

アベノミクスが失敗した理由』という記事を読んだ。「保育園落ちた日本死ね!!!」が世界デビューしていて驚いた。

WBSに出ているコメンテーターは日本は深刻な人材不足だという。本当にそうだろうか?日本はむしろ仕事が足りないと私は思っている。だから大学生は就活とかいう茶番に大学4年間のうち1年半から2年もの時間を費やして仕事を探さなければならない。今は違うのかも知れないけど3年生の5月くらいには夏インターンの説明会とかのためにリクスー着て走り回るような状況がかつてはあった。今でもたぶんあるんじゃないかと思う。1億総活躍社会とか女性の社会進出とか言うけど、それに文句を言う人も多い。何故かというと日本は深刻な求人不足であって、8人しか雇うキャパがないのに9人が仕事を求めているのだから、ライバルがこれ以上増えては困るというのである。ネットの就活コミュニティでも女性は総合職を目指さないでくれという意見は結構見る。立場が違えば見方も違う。

就活中の大学生が近視眼的で、見ている仕事というのが主に大企業の正社員だけであるのかも知れない。仕事は色々あって中小零細企業もあるし、派遣や契約社員あるいはパートなどの非正規労働もたくさんある。しかし求職者の立場では非正規には就きたくないだろうし、大企業や公務員の正社員になりたいのである。聞くところによると人材派遣業のピンハネ率は驚くほど高く、派遣社員を雇っている企業はかなりの額を派遣企業に払っているらしい。例えば、派遣先の企業は1ヶ月に50万円を払っているのだから、それに見合った仕事をして欲しいと思っている。しかし派遣労働者は20万円しか受け取っていないから、20万円なりの労働しかしたくないと思っている。双方に不満のある状況が生まれる。人材派遣業は大儲け。じゃあ直接雇用にすればいいだろうと思うけど、前述のように求職者が近視眼的で有名企業ではないところにはなかなか目が向かないからコーディネーターとしての人材派遣業の役割は大きいし、派遣先企業としても解雇規制がある中では気軽に使える派遣社員は大事なのかも知れない。

求職者としては給与は多い方がいい。日本は転職市場が未発達だから、できれば新卒でいい企業に入って定年まで勤め上げるほうが安全だとは思う。転職で成功した人はいるだろけど、それは一部の幸運な人でしかないようにも見える。そして給与が高い仕事が難しい仕事、辛い仕事ではなく、楽しい仕事であることも多いように思う。逆に低賃金の仕事ほど単調で無味乾燥で職場環境も悪くてストレスが多く、身分も不安定でいつ失業者になるかわからない。人材の流動性が低い日本における就職活動は単なる求職ではなく、身分闘争であると思う。貴族と庶民がいて、過激な言葉を使うのであれば賤民もいる。職業選択の自由がなかった昔と違って新卒の人は貴族になるか庶民になるかを選ぶことができるが、一度決まった身分はその後はなかなか覆らない。

自力でアメリカのビザを手に入れた立場から言うと、日本企業から派遣される人は率直に言ってうらやましい。私はアメリカのビザを手に入れるためにかなりの時間と費用をかけて、かなり知恵も使った。しかし日本企業の駐在としてこっちに来る人は会社の費用で派遣され、場合によっては海外勤務手当なんかついて、住宅手当もばっちりつく。ある台湾で働いている知り合いによると、日本で得ていた給料がまるまる入り、家は社宅なので家賃かからず、海外手当もあって、物価安いから日本にいたときの3倍くらいお金がある気がするらしい。最初は海外なんか嫌だと思っていたが今は戻りたくないなんて言っている。さらに企業によっては永住権もサポートしてくれたりして、私がいま苦労しているような問題を軽々組織の力で飛び越えていく。シリコンバレーだと日本の有名企業からも研修なのか何なのか知らないけど人が来ることがあるけど、あまり目的意識もなく会社から言われたから来ましたみたいな物見遊山も多い。そりゃあ仕事に就くならそういう役得のある仕事を求めるよね。会社が留学費用出してくれたりするところもあるらしい。ほんとうらやましい。

仕事を通じて得られる経験も大きい。大学卒業したときには客観的に同程度の能力の人が二人いたとして、片方は恵まれた職場でいい仕事をして、もう片方は仕事に恵まれなかったとすると、やがてそれはその人の能力の差になってくる。仕事の差は単に給与の差ではないし、それだからこそいい仕事に就きたい。

一方で、仕事の現場では辛い労働をしている人が多い。一つの原因は人材不足だと思う。もしその仕事が10人で回すべきなら最低10人雇って欲しい。できれば12人くらい雇ってくれると気軽に有給休暇でも取れたり定時退社できたりするので嬉しい。しかし人件費が不十分である、あるいは企業が貯金箱化していて膨大な黒字があるのに人件費になかなか回らないような状況があるようにも見える。色々な事情はあるだろうが、10人欲しい職場に8人しかいないから過剰な残業が増えたり、休みたいときに休めない。人材不足の原因が求職者が足りないわけではなく人件費不足に起因するため、人材不足と求人不足が同時に起きる。しかし首相とかテレビのコメンテーターのような偉い人は求職者の立場を理解していないから求人不足とかもっと人材が活躍できるようにとか言う。

というわけで、日本の今の問題は比較的明確で、人件費が足りないのである。人手不足というのはキツい言い方をすれば奴隷が足りない。安い賃金でつまらない仕事に長時間従事してくれる人が少ない。だから移民を検討するのかも知れない。

問題点は明確だが、実現可能な解決策を提示するのは難しい。仮に私が総理大臣などのポストに就いていたとしても解決策は提示できないだろう。解決策を挙げるだけならできるかも知れないけど、きっと抵抗勢力(既得権益者とか頭が固い人とか、反対するしか脳がない野党とか)が多くて実現はできないと思う。

なんか上手く言いたいことをまとめられないので最後に妄想を書き連ねて終わりにする。人材配置の最適化が欲しい。求職者でも本音は楽していい生活したいだけの人が意識高い系の発言を口先だけでして、就活テクニックに長けているからいい職場に内定を得ていたり、あるいはその逆に非コミュだから割くっていたりするのを何とかしたい。例えば国のエネルギー政策について携わる官僚のポジションがあるとして、そんなことには一切関心はないけど安定した公務員でエリート経産官僚になりたいだけの人はそのポジションから外して、本気でその問題を解決したい人をポジションにつける(経産省は2年くらいで順繰りに回るらしいからそもそも無理かも知れない)とか。あるいは次世代交通システムに本当に関心があって是が非でもそれに携わりたい人がトヨタとかで働いて、車なんて大して興味ないけどトヨタといえば日本一の企業だし安定して福利厚生もよさそうだなという人を外すとか。だったらGoogleに行ってGoogleカーでもやればいいじゃんって話になりそうだけど。それができているからアメリカは強いんだと思う。Googleはでかいから入りたいって人もいるんだろうけど、多くはその仕事に関心を持っているから入ってくるし、逆にGoogleみたいな企業でも自ら去って行く人は多い。こうして人材の最適化がなされている。

毎年赤字ばかり出している大企業に多くの優秀な人材が勤めてるのも無駄が多いと思う。上手に使えば多額の利益を生み出せるはずの人材を数千人、数万人抱えて赤字を作っているのだから。これもまた人材流動性が低いから、また大手企業の環境がいいからやめたくないのもあるし、またいわゆるマインドもあるかも知れない。こうしたところが変わっていけば、企業の収益力が上がって人を多く雇えるようになって、必要な労働力以上の雇用を安定して生むかも知れない。