プロのピアニストと普通に上手い人はどのくらい違うのか

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ジャンプ系の漫画を見ていると戦闘力が青天井に伸びていってインフレだと思うけど、音楽家を見ているとドラゴンボールの世界を垣間見ることができる。趣味でピアノをやっていると、偶にこいつは天才じゃないかって奴がいる。でもそういう人も音大とかで真面目にやっている人と比べると下手だったりする。その音大生もコンクールとかに出れば上には上がいて、大抵の人はプロとしてはやっていけないものである。その人外(失礼)とも思える技術を持っているプロでも上から下までピンキリであり、この世界はいったいどうなっているんだと常々驚嘆するのである。

Youtubeによくピアノの動画を載せている人がいる。

この人はかなり上手いなあと思って見ている。他にもピアニート公爵とか有名な人はたくさんいる。なお、ピアニート公爵が某有名高校出身であることがわかって内輪で少し盛り上がった。

しかしその上手い人も

プロと比べると比べるともたついているというか、スムーズでないというか、流麗でなく、やはり差を感じてしまう。プロというのはげにまっこと恐ろしいものである。いったいどのくらい上手いのか。亀仙人とフリーザくらい違うのだろうか。さらにプロの世界にはセルや魔人ブウみたいなのがいるのだろうか。

でも案外プロとアマチュアの差は大きくないのかも知れない。スプリンターで言うと100mを11秒で走る人と9.63秒で走る人くらいの差しかないのではないかと思っている。100mを11秒で走ると素人の世界では異常に速いけどオリンピックレベルで見ると全然だめなんだと思う。10%ほど高速化して100mを10秒にするとようやく一流のラインである。100mを10秒の人をさらに10%くらい高速化すると人間レベルを超えてしまい、永遠に人間が到達できないであろうタイムになってしまう。

最近、将棋の世界で面白いことが起きている。プロ棋士がコンピュータにぼちぼち負けるようになった。コンピュータ将棋のことはそれほど詳しくないけれど、少し前にボナンザメソッドという棋譜をたくさん読ませて評価関数を自動生成する方法が編み出されて急に強くなったと聞いている。以前はプログラマがチューンしていたらしい。だけれど、たぶんその後はブレークスルーというような技術が生まれるわけでもなく、CPUが爆発的に高速化するわけでもなく、気がついたらアマチュア上位といい勝負だったコンピュータ将棋がプロも歯が立たないレベルまで急成長している。急成長したと言ってもちょっと強くしたら人間では相手にならないレベルになったのかも知れない。昔は人間と自動車が競争したこともあったが、そのうち人間と自動車のレースが成り立たないように、人は人、コンピュータはコンピュータと棲み分けるようになるかも。

コンピュータ将棋に詳しい人だと探索空間をどのくらい強化したら、アマチュアの上位と互角レベルがプロレベルになったかわかると思う。で、それはおそらく100倍強くしましたってものではなくて、せいぜい数倍程度強化しただけなんじゃないかと予想している。アマチュアの上位の棋力を138としたとき、プロの棋力は53万ですみたいなことはなくて、案外200くらいなんじゃないか。53万はいくらなんでも大袈裟か。でも亀仙人とナッパよりは差は小さいと思う。

なあんだ、プロ棋士って大したことはないのかということではない。たぶん対数関数のグラフの伸びみたいに、最初のうちは急速に伸びるけど、ある程度の段階に達すると伸びが緩やかになり、それでも自分よりちょっと上手い人との溝を埋めるにはとんでもない努力を要する世界。だけどコンピュータとか自動車はそこんとこ易々と乗り越えていくから、数値化の参考になる。何パーセント強化したら人間は相手にならなくなりましたとか。

参考:TopCoderのレーティングは次のような式で計算されている。最高は一時のPetrが3900くらい出していて、おそらく4000くらいが限界だと思う。将棋だと将棋倶楽部24ってところもレーティングという形で強さを出していて、どういう計算式かは知らないけど『ponanzaが将棋倶楽部24で大暴れ』によると、ponanzaが3172を出したらしい。おそらくこのシステムだと3300くらいが限界のようだ。だけどレーティングだとR3000の人とR3300の人がどのくらい違うかよくわからない。

色々話題が飛んだけど、コンピュータ将棋はアルゴリズムの飛躍的進歩とかそういうのがなければ、リソースをどのくらい増やしたらアマチュア上位からプロレベルになりましたってのを比較的明確に表すと思う。これはスプリンターの11秒と9.63秒のようなもので、案外15%くらいしか差がなかったりするかも知れない。その狭いレンジに多くの人がひしめいていて切磋琢磨している。100m走や将棋はうまいこと数値化できる方法があったけど、ピアノはそういう風に数値化するのは難しいそう。でも何らかの方法で実力を数値化した場合に普通の高校で一番上手い人とプロの差は想像より小さいんじゃないかと思ったけど仮説の検証ができそうにない。何か面白い測定方法はないかな。

追加:たぶん音大生(「大学のクラス音楽会で弾かせて頂きました」とある)による演奏。この人も上手いなあ。録音がもっとよければいいのだけど。

追記:もしコンピュータが人間の創造性というか芸術に対する感性を表現できる知能を獲得したら、ボナンザメソッド以降のコンピュータ将棋みたいに案外短時間でプロのピアニストよりも魅力的な演奏をするかも知れない。と思うのは上記の仮説が妥当だとしたら、素人から見てこいつすげーなという人とプロの差は、人間が努力したら一生かけても埋まらないかも知れない差だとしても、絶対値としてはそう差がないのではないかと思うから。今のところコンピュータは正確に音を出す程度だと思う。あるいはコンピュータを楽器としている人が味付けをすることで芸術になる。でも、いつかコンピュータが芸術を紡ぎ出したら面白いだろうなあ。そして、そういう時代になったら人間が努力して得られる将棋の棋譜よりも遙かに多くの、良質の棋譜が手に入ることで人間のレベルが底上げされるかも知れないように、コンピュータの演奏にインスパイアされましたって人間のアーティストがより芸術を高い領域に高めてくれるかも知れない。その辺は人間と自動車の100m走との違いだろう。

2 件のコメント

  • 東大を卒業してニートになってしまい
    一念発起してスタンフォードの大学院に進学
    修士号を取らずに(取れずにかもww)
    そのままシリコンバレーで働いてる者です
    探せば未経験可の募集もありますよ
    頑張って下さい

    • ありがとうございます。いろいろな経歴の人がいますね。シリコンバレーはエンジニアの仕事は多そうなので期待しています。最近はニューヨークにおいでという声も多いけど、ニューヨークだと仕事あるかな。

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