特定商取引法って嫌儲なんじゃないか

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特定商取引法(特定商取引に関する法律)というのがある。1条によると

この法律は、特定商取引を公正にし、及び購入者等が受けることのある損害の防止を図ることにより、購入者等の利益を保護し、あわせて商品等の流通及び役務の提供を適正かつ円滑にし、もつて国民経済の健全な発展に寄与すること

が目的であるとしている。簡単にいうと悪徳業者に制約を課して消費者の利益を守る法律である。制定された背景には悪質なマルチ商法が社会問題化していたことがあるそうだ。

特定商取引法って嫌儲なんじゃないか

さて、このインターネット時代にはネット上でショッピングモールを構えて生計を立てようと考える人が現れてもおかしくない。例えば商品を安く輸入して国内で少し高く売ることで利ざやを得ることは現実的になっている。しかし、これは通信販売であるため特定商取引法の対象になる。

一方で、ネットで商売をしていると足を引っ張る人がいる。よく嫌儲と言われる。何かあると「転売厨ざまぁwwww」みたいな書き込みを見かけるけど、精力的に商売を邪魔してやろうという勢力はそれなりにいる。同じ転売でも総合商社がオーストラリアから鉄鉱石の権益を買ってくるのは転売厨とは言われないし、むしろ総合商社と言ったら学生が就職したいランキングの上位に来る。

この違いは何か?おいらは嫌儲思想が根底にあるように思う。嫌儲は幅広いもので、商業主義全部を否定するようなラディカルなものもあるし、悪質な希少商品の買い占め&高値転売で他の消費者に打撃を与えるやつだけを批判するマイルドなのもいる。ここで言う嫌儲はその中間くらいの、個人が利益を目的に何かをしていると叩く人たちを指すことにする。

どうもこのケースの嫌儲な人たちは伝統的な仕事とそうでない仕事を分類する傾向があって、同じことをしていても大企業がやるのであれば立派な商売、個人でやると不当な利益と考える節がある。伝統的な仕事のうち小規模なもの、自営業などは特に叩かれることはない。ネットによってハードルが下がった個人商売は叩かれる側である。

ここに特定商取引法の問題が出てくる。ヤフオク転売ですら身の回りの品を処分する以上に大々的にやっていると見なされると特定商取引法の適用を受ける。

特定商取引法について(2006年2月1日)

2006年1月31日に経済産業省から、特定商取引法における「事業者」認定の指針が発表されました。

特定商取引法では業として通信販売を行う場合、氏名(名称)、住所、電話番号などの表示をすることが販売者に求められています。しかし、インターネットオークションでの出品について、どういった場合に「事業者」に該当するのかという点についての判断基準がこれまで明確にされておりませんでした。

今回、ようやくその基準が公表されましたので、お客様にご案内いたします。

お客様にはYahoo! JAPAN利用規約やYahoo!オークション・ガイドラインで法令を順守してサービスをご利用いただくことを約束いただいております。特定商取引法の定める表示の順守についても、どうぞよろしくお願いいたします。

特定商取引法は悪質なマルチ商法の被害から個人を守るための法律だったはずだが、今は就職状況も悪く自活していかなければならない人も多いわけで、むしろ個人を守るよりも個人が勝手に商売をするのを牽制する法律になってしまっているように思う。

同人誌の例

同人誌をネットで売る場合を考えよう。普通に考えたらこれは特定商取引法の適用を受ける。そうすると、事業者の名前とか住所とか個人情報をネットに晒さないといけない。そうすると今はすぐにGoogle先生に情報をクロールされてしまい、半永久的にネット上に自分の情報が残る。

同人誌の場合はそうやって身元を特定するとよくイタズラがあるらしい。女性の団体だとストーカーが現れることもあるらしい。

同人誌をネットで売りたい

・・・そして、ここからは回答と少し外れてしまいますが、住所や個人情報の公開は、同人においてはとても危険な行為です。(一般でも個人サイトに自分の住所や電話番号を書く方は居ないと思いますが・・・)アンチ派からの個人攻撃の様な些細な嫌がらせから始まり、人気サークルになればファンの押しかけ、ストーキング、下手をすると実際に危害を加えられる例も珍しくはありません。(私も程度は軽いものですが、一部経験したことがあり、現在はペーパーにURLしか載せないようになりました)

もちろん活動する以上こういったトラブルが起きる可能性はゼロにはなりませんが、住所を容易に見える場所へ公開することは不用意なトラブルを増やす要因にもなります。同人において住所が伏せられているのはこういう実情もあるんですよ。(最近特にこういう被害が増えて、ペーパーにも住所を書かない方は多いです)

という話は実際にある。今は暇人が増えていて、ネットの上で「祭り」と称してネチネチと嫌がらせをする人は多い。嫌儲が跋扈する時代に個人が身元を明かして商売をするのはハードルが高いのである。

会社を設立して、そこの代表として特定商取引法の定める表示をすれば、名前は漏れるけれど嫌がらせの先はどこかの雑居ビルとかである。それでも、些細な情報の断片をつなぎ合わせて、色々な情報を拾ってくる人はいるわけだけど、自宅を晒すよりはずっと安心感がある。しかしながら、そうやって事業拡大をするには資本金は必要だし、やっぱり面倒臭い。

もう一度繰り返すけど、特定商取引法は悪徳商法から個人を守るための法律のはずだが、今は就職=企業に所属するという時代でもなくなりつつあるのに、個人で事業をやろうとすると面倒臭い法律が付きまとうというのは何とかならないものか。

行政の不作為ということで文句を言ってやりたいけど、どうせ聞かないんだろうなあ。今は特定商取引法が定められた1970年代とは事情が大きく異なるのだから、それに応じて法律を柔軟に改正して貰わないと困るのである。