ビジョン

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現在、ワーキングプアが問題になっている。正社員であっても酷いサービス残業や休日出勤のブラック企業が多い。おいらは抜本的な対策は稼げる産業を育成するしかないと思う。例えばIT、バイオ、環境技術などである。

が、どうしても納得してくれない人もいる。例えば父がそうだ。

グローバル化なんだから仕方ない

父はグローバル化という言葉を多用していた。新聞とか書籍でも散々書かれたテーマだから感化されたのかも知れない。

例えばIT。仕事でインドの会社の人と話したことがあるそうで、あいつらは優秀だという。同じ品質の仕事を安い賃金でやったら勝ち目がないという考えらしい。しかし、そのこととおいらの主張は別に対立しない。なぜなら、おいらは途上国ではできない仕事を先進国がやればいいという考えだからだ。途上国でもできることを先進国でやっていたら、そりゃあ貧しくもなるよね。

話をしていると、どうも父の中では先進国でしかできない仕事はないと思っているようで、ここでどうも相容れない。人類の文明の進歩は現在のレベルが天井というわけはないので、これからも新しい産業はきっとできると思う。で、そうした産業を模索していくしか先進国は生き残る道はない。先進国というのは課題面でも先進国だから、真っ先に高齢化とか人件費の高さとかの問題にぶつかるのだ。その問題を解決して世界のモデルケースを作っていかないと先進国とは言えなくなる。途上国にはならないまでも、衰退国とか中進国(トルコのようにかつては文化の中心だが、今は・・・って感じ)になる。

ITに関して言うとWindowsを作るのは別にアメリカでなくてもできると思う。親父のITはもうダメというのはそういう理由らしい。LinuxとかBSDとかオープンソースで良質なOSが複数あるのでカーネルの技術はいくらでも勉強できるし、ReactOSのような(不完全ながら)Windowsとの互換のあるオープンソースOSもある。資金力が十分にあればWindowsのクローンや同等の商用OSは(技術的には)作れるだろう。だからITはもうダメというわけだ。

しかし、マイクロソフトの真に恐ろしいのは研究所の《ビジョン》だと思ってる。ビジョンというのは限られた人だけが持つある種の視力というか、物事を見通す資質である。例えば、マイクロソフトは.NETのベースになっている共通言語基盤 (Common Language Infrastructure、CLI) をずいぶん前から研究してきたのだが、最近になるまでマイクロソフトはバカなことばかりする的な不当な評価が多かった。こうして多くのIT関係者はマイクロソフトの真意に気づくことなく最近まで来てしまった。

つまりマイクロソフトは、凡人には何やってるんだかまるで分からない重要技術を生み出す力があると言うことだ。目標の明確なこと(例えばクラッシュしないOSとか)はオープンソースで転がしておけば、みんなであれこれ突いてバグを駆逐してしまうのだけど、オープンソースだと卓越したアイディアはあまり出てこないと思う。同様に途上国で高等教育を受けただけの安い労働力では、Microsoft Officeと同じ機能を持つオフィススイートは作れるかも知れないが、新しい重要技術は作れないのではないかと思う。もちろん、アメリカで先進的研究をしている途上国の人はいるのは知っている。

途上国に作れないものを作らないとやっていけない、それが先進国の宿命なんだと思う。途上国に真似できないもの、その1つの例がビジョンである。

それは全体の何%だよ?

他にも、MicrosoftとかGoogle, Goldman Sachsなどでアメリカ成り立っていることについて「そこで働ける人は全体の何%だよ?」と言っていた。

しかし、別に全ての労働者がある一つの業界で働く必要はないのだ。輸出産業がうまく機能して豊かだった時代の日本だって、全ての労働者が輸出産業に従事していたわけじゃない。食堂で働いていた人もいるし、床屋を営んでいた人もいる。仮に日本で髪をカットして貰うと3,000円かかり、某途上国だと100円だとしよう。輸出産業など稼げる産業で働いている人が十分な所得を得ていて、その人は3,000円の床屋で髪をカットすることができるから成り立っていた。外貨を稼ぐ産業じゃないから100円でカットしろなんて話にはならない。外貨をがっちり稼げる産業が元気ならば、直接関係ないサービス業の人も途上国水準より多くの所得が得られる。税金だって多く取れるだろう。こうして社会は回っていく。たぶんGMとかFordもアメリカで次の世代の産業がうまくいっていなかったら、もっと早く破綻していたと思う。

収益の源泉になるようなイノベーションと言えるような産業の確立は、言うなれば巨大な樹木のようなもので、単に立っているだけではなく、周りに多いな恵みをもたらすはずなんだ。

と思うのだけど、親父一人すら説得が難しいのだと、これは難儀な仕事になりそうな気がする。

4 件のコメント

  • 新しい産業が生まれるか否かは、その国の知的データベースがどれだけ豊かであるかに依存していて、それに関しては先進国が圧倒的に有利だと思うから、途上国にはまねできないってとこは賛成です。
    でも限られた人が新しい産業を作ったとしても、その産業から新たに生まれた仕事はやっぱり単純労働で、結局途上国でも代替可能だと思う。それなら新しい産業を作った人は、どうせなら賃金の安い途上国の労働者を雇って、稼げる産業の仕事は途上国に移り、日本の雇用は改善されないのでは?とふと思いました。

  • オナニートさんが考えていることは、上位0.1%の人が考えることだと思う。
    そして、その、上位0.1%の人が考えることは、全体を説得することは出来ないし、する必要もないと思う。
    上位0.1%の人は、上位1%くらいの人までを納得させて先へ進めていければいいんじゃないかなあ?
    上位1%くらいは納得させないと、金が出てこないから進まないだろうけど。
    他人の親を、上位じゃないって言ってるみたいで、失礼ですみませんが・・・。

  • yukichi2009さん。結局、現在最先端の産業は徐々に途上国に移っていくと思います。だから、いつまで経っても先進国は課題先進国であって、面倒くさい課題を他の国に先んじて解決しなきゃいけない宿命にあります。やっぱりまた次の問題が出るんですよ、きっと。何になるか分からないけどね。人口150億人になって、火星移住しないととかになるのかな。

    先進国の数が増えるかどうかはわからない。中国が先進国入りするのか、それともずっと途上国なのか。現在の歴史はヨーロッパから見た歴史という面が強いので、ヨーロッパを除外すると途上国から先進国入りした国はほとんどないらしい。一時期期待されていても、先進国入りしないでコケるケースが多いのです。そうすると、限られた国だけでこれからも面倒くさい課題に対処していかないといけない。

    匿名さん。だいじょぶですよ。親父はどーも仕事を辞めてからちょっとぼーっと過ごすことが増えちゃいました。

    全員を説得する必要がないのはそうだと思います。携帯電話だって少し前までは「外で電話して何になる」って言っていた人が大勢いたらしい。でも今ではそんなことを言う人はほとんどいないはず。ビジョンは具体化すればわかってくれることが多いようです。もちろん、そのビジョンが独りよがり(自分だけすごいと思っていて、理解できないやつはバカなんだと勘違いしているの)でなければですけどね。

  • onaneetさん。課題先進国であるがゆえに新しい産業が生まれることと、雇用が改善されることは当然別個のことだと思ったわけです。それぞれ促進しなければならない。

    インターンおめでとうございます!!不躾ながら自己紹介が遅れましたが、学部学科は違えど僕は去年のonaneetさんと同じような状況なので、興味深く読ませていただいています。うらやましさ80パーセントくらいで応援していますwww

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