小銭を複数回に分けて取るビジネス

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スレに書いてあることの加筆版です。

小銭を複数回に分けて取るとは

私は喫煙しないのでよくわからないのだけど、たばこは1日に1箱を吸ってしまうのは珍しくないらしい。身近な喫煙家の友人のたばこが確か1箱260円なので、1ヶ月で7,800円のたばこ代を払っていることになる。実際には彼は1日に3箱くらい吸っているので、23,400円/月である。

高級レストランで食事をすると、上は青天井だけど、とりあえず5,000円もあればかなり満足のいくコース料理を食べられると考えている。ということは毎週5,000円のコース料理を食べてもだいたい喫煙家の友人と同じ程度の出費をしていることになる。毎週、コース料理を食べてくるというと相当に優雅な生活をしているように見えるけれど、実は普通のフリーターと同程度の支出でしかない。

まとめて23,400円の贅沢をしようというと、なかなか思い切りが付かないものだ。特に所得が低いとそんな贅沢は無理だと考える。しかし260円ずつ複数回で徴収すれば同じ額を払ってしまうことになる。また、愛煙家の人には申し訳ないけれど、喫煙率と所得の間には相関関係が認められている。所得が低い人の方が喫煙率は高いのだ。ということは、所得の低い人は効用(満足度)の低いことにお金を使ってしまい、使える総額が多くないから質素な生活をする傾向が強いことになる。電車の中吊り広告的に言うと「下流の生活」という身もふたもないことになり、そういう表現を使うのは勇気がいるが、オブラードに包んでも現代社会の問題は解決しないので思い切って書いちゃう。

小銭ビジネスは効果的

私には実は兄弟がいて、彼は非常にマメなやつで、毎日レシートをパソコンに打ち込んで家計簿をつけている。彼は自分の出費をおそらく1円単位まで把握している。なお、彼は誰もが知っているであろう東証一部上場の企業で研究職をしている。別に貧しいわけじゃない。

しかし、そういうタイプはおそらく稀で、自分自身そんなに細かく把握はしていない。せいぜい千円単位でしか考えていないが、それでもクレジットカードの請求を見て思いの外高くて慌てるなんてことは一度もしたことがない。

一方で、携帯料金の高さに慌てる人はたくさんいるし、クレジットカード破産も多い。ということは、自分でいくら使ったか把握していない人がたくさんいるということだ。そういう人からこっそりお金を取ろうと思ったら、一度にたくさん取ると拒否されてしまうので、小額ずつ複数回に分けて取ることになる。そして、これは現実に上手くいっている。

しかし、こうしたビジネスはドル箱ビジネスであるにも関わらず、私の兄弟のようなマメなやつが増えると上手くいかない。

ドル箱ビジネスを継続するためには

たぶんドル箱ビジネスは意地でも破綻させないと思う。たとえば、着うたフルが210円~420円とされているが、実質的には420円という気がする。一方でiTunes Storeだと150円がほとんどで、DRM(プロテクト)も比較的緩く、これからはなくして行く方向にある。これを考えると、どう見ても携帯の音楽配信は高いけど結構売れている。

携帯の音楽配信は欠点のかたまりで、価格は高いし、DRMががちがちで、キャリア変更あるいは電話番号の変更が行われると聴けなくなる。CDの時代より音楽は後退してしまったように思う。

これは企業努力なんてものにはほど遠く、むしろ情報弱者に集って生きているモデルと言える。サービスの質を総合的に判断して、その通り行動できる人が多ければたぶん成り立たない。確かに決済はお手軽とか、携帯にダウンロードされるとか、そういうメリットはあるけど、これは小銭を使わせるためのトリックである。

そうした企業にとっては、多くの人が合理的に動くようになったら困るだろうから、何としても妨害してくるだろう。妨害といっても法治国家だからあまり酷いことはできない。せいぜいJASRACのような著作権ヤクザ(ヤクザ=自分は生産的なことをせず、恫喝などの行為を「用心棒」などと聞こえのいい表現で行っている者)団体をうまく使うとか、プロモーションを工夫するとか、そんな感じである。

青人草

青人草とは国民のことであり、ほっといても生える雑草のようなものだから大切にしなくていいという程度の意味である。もっと言うと、民は生かさず殺さずに絞り取っていいということ。あまり放置すると大変なことになるし、絞り取り過ぎるとペンペン草も生えなくなってしまう。

これを企業に置き換えると、消費者が合理的な行動をすると困るから知恵をつけないようにしようということになるのかも知れない。典型的には消費者金融のデート(笑)のときにピンチだから気軽にお金を借りよう的CM(給料日まで待てよ)とか、携帯電話の「つながっているね(携帯で喋ることが愛情であると宣伝)」とかがそうだと思う。

このくらいならよいのだが、さきほどの喫煙率と所得(学歴)の関係や、あるいは飲酒率のように、細かいお金を多く使う人の多くはあまり所得の多くない人である。逆に金持ちはケチ合理的だからお金を取りにくい。なんだかんだ言って金持ちの方が色々なサービスで優遇されている。そうすると、多くの業種にとっては消費者はサービスを利用してくれる、ほどほどな豊かさであることが望ましいのかも知れない。もちろん富裕層向けビジネスなんてのもあるけどね。

過激な言い方をすれば、白痴化政策を採ることはいくつかの企業にとってはメリットがある。いくつかと言っても、就職活動などで人気の会社はこの「いくつかの企業」に該当することが多い。広告代理店とか、テレビ局とか、携帯キャリアとかね。しかし、そういう政策は長期的にはGDPが下がってくることになり、結果的には企業の利益が減る。

ここまで来るとやや強引な気もするが、年収300万円くらいの独身の人あたりが多い社会というのは、こうした「いくつかの企業」にとっては居心地のいいのではないかとは思っている。

サブプライムローン問題の中心地のアメリカで-3%台、ヨーロッパで-5%台なのに、日本のGDPが-12.7%なのは日本が輸出産業中心だけでは説明がつかない気がする。GDPというのは所得の合計であり、もともとGDPを絞るような流れが雇用環境を中心にあった。だからGDPは下がるが、超売り手市場と言われる実感なき好景気でうまく釣り合っていたのかも知れない。その実感なき好景気の下支えがなくなって、ワーキングプアだらけになればGDPは急落せざるを得ない。

追記:虚業について

ホリエモンが逮捕された頃から「虚業はダメ」という声が吸血鬼ども名だたる大企業を中心にそういう意見を発信してきた。しかし、少し前の1ドル120円というのは日本の経済力に比して、異様な円安だったという指摘もある。

そこにサブプライム問題が発生し、また「金融のような虚業はダメ」ということを言っている人がいる。アメリカは双子の赤字という財政赤字と貿易赤字を抱えて、その帳尻を金融で合わせていたような構図があるからだ。

しかし、アメリカの金融業が後退すると日本の輸出品は売れなくなってしまった。さらに円高になると一気に輸出企業は苦しくなった。結局、日本の自称実業をしていた企業も、アメリカの借金して家を買って贅沢しようという虚業によって成り立っていた虚業であったのかも知れない。実際に諸外国に行くと物価の高さに驚くことがあるが、本来は物価は高いもので、それを派遣を使って安く生産して、不当な円安で安く輸出していただけのようにも思える。

GDPの急激な落ち込みは先ほどは企業の陰謀と言ったけれど、それは半ば冗談で、本当のところは日本が虚業だらけだったということなのかも知れない。

1 個のコメント

  • ばいおブログから流れてきました。
    ばいおさんは愚痴っぽいが、こっちは真面目な分析で面白い。
    さすが東大生だわ。

    ブラック企業の不必要なサービス=愚かな消費者から金の絞り合いの分析には、膝を叩きました。
    日本は長期的には国を衰退させるような、不必要な仕事が多すぎる。
    そんな仕事ですら『労働は美徳』という妄想から褒められ、慎ましく生きるニートは害悪のように言われる。
    何もしない人が増えるのは、小銭のむしり合いが増えるよりも悪いことなのだろうか。
    これだけ生産性が上がった社会なのに、発展途上の段階より閉塞感に溢れているのは何故だろう。

    このブログが、労働への強迫観念を取り払ってくれるように祈りますわ。

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