日本は刹那主義

広告

このエントリはばいおの「2chに書けねえどゴルァ!」に対するコメントです。

今の会社は株主のほうに目が向いてるから

向いていません。日本の会社は「株式会社」というシステムを理解しているところはほとんどありません。関心のあるのは企業内部にお金を貯めることだけ。実は経営陣もそんなに高給取りではないんですよ。安くはないけど、アメリカの社長みたいにアホみたいな高収入はないです。企業を貯金箱にして自分が儲かるわけでもないし、何が嬉しいのかよくわかりませんが、ときどきいますよね、具体的な使い道があるわけでもないのに、預金通帳眺めるのが趣味の人。たぶんあれと同じです。

日本企業が株主軽視の根拠は山ほどあります。片っ端から書いていたらきりがないけれど、典型的なのは株式持ち合いとか買収対策でしょうか。日本企業が好きなのは「市場ごっこ」です。予定調和の中にいるうちは「(東証)一部上場(笑)」とか言って喜んでいますし、配当金も払います。しかし、大株主が経営に口出ししたり、買収するなんて話になったらこの世の終わりのように慌てふためいて保身に走ります。

このように最近の日本企業が株主を重視しているなんてことはありません。

株主というのは、たとえて言うのなら屋敷の主です。しかし、あまりに広大な屋敷なので自分で全部面倒を見ると大変だから、執事とかメイドを雇って家の面倒を見させます。庭の手入れなんかも庭師に任せきりです。たまに好みがあるときはリクエストを出したりはするかも。多くの場合は使用人に一切を任せています。ですが、屋敷の主が誰かというのはハッキリしています。

今の日本企業は召使いが屋敷を自分のものだと思い込み、主が何か指示したら大騒ぎをします。

そんな株主好みの経営者が日産のカルロス=ゴーンだったような

ゴーンはフランス人なので日本人よりは資本主義について理解しています。またブランドやファッションの先進国フランスの人でもあるのでビジョンにおいて優れています。ゴーンは自動車メーカーの社長としては優秀だったと思います。あの瀕死だった日産をここまで立て直してブランド力まで付けました。

よくスポーツカーのホンダと言いますが、現実にはホンダはミニバンばかり作っていて、日産は一時的にはスポーツカーを片っ端から潰したけどGT-Rの復活をしました。今ではスカイラインクーペ(国産車のクーペって現行ではスカイラインだけらしい)とか、フェアレディZなんかも用意しています。

トヨタでもホンダでもいいような車ばかり作っていてはブランドは確立されないんです。ヴィッツはいい車ですが、もしフィットの方が10万円安ければフィット買うでしょう。ヒュンダイだと30万円安いとなればヒュンダイに流れます。しかしGT-RはGT-Rが欲しいという人がいます。名指しで選んでくれる客が一定数いるということは大きいことですよ。就職でも「まともな大学を出ていれば誰でもいいや」で採用されるのと「ぜひ君に入社して欲しい」では全然違います。

ポルシェという高級車メーカーがありますが、一時やばい時期もあったけど、最近まで大儲けしていました。今は金持ちがダメージ受けているので売り上げは落ちるでしょうが、トヨタほどにはひどい目には遭わないような気がします。やはりポルシェが欲しいとかフェラーリが欲しいという人はたくさんいます。でもトヨタが欲しいって人はたぶん世界中を探しても非常に少ないでしょうね。

トヨタが欲しいという人も中にはいますが。しかし、これらのトヨタが欲しいはブランドに対しての忠誠心はありません。あまり車に詳しくなくて家にずっとトヨタ車があったからとか、あるいは安くて品質がいいからとかその程度のものです。前述のように他社が安くていいものを出せばあっさり乗り換えてしまうでしょう。ポルシェとかGT-Rと同列には語ることはできません。

日本は家でもなんでもスクラップアンドビルドが好きで、30年も経てばボロボロのあばら屋をたくさん建てていますが、ヨーロッパは数百年前の家をずっと使い続けていたり、また街並みを綺麗に保ったりしています。このためヨーロッパの都市は観光で歩いても美しいのですが、日本では古都として有名な京都とか鎌倉に行っても現代風の汚い家が並んでいて、よく観ると寺社が多いなという程度のものになっています。つまり日本は刹那主義なんです。そのときがよければOK。

よく「木の文化」と「石の文化」という言い方をしますが、日本は現在あるものはすぐに朽ちてなくなるという考え方をする人が多いようで、あまり長く残るものを大切にしようとしません。これは企業も同じで、目先の利益が一番好きです。ですから100年後にその企業が一流企業として存続しているかよりも、目の前の利益のために派遣社員を雇ってすぐにクビを切るなんてことを好み、また基礎研究なんかには関心を示しません。

追記:トイレ

日本は刹那主義でよいものを作ろうなんて気概はないと書いたけれど、全部がそうではない。一例はトイレだと思う。日本のトイレはおそらく世界で一番進んでいる。しかしトイレである。エロとかトイレの話は大きな声で話すことが憚られる。そういうところは日本人は大好きのようだ。

面白いブログがある。外人が日本のトイレについて書いているのだが、オリジナルは「The Hopkinson Report」の「Episode 35: What Japanese toilets taught me about the auto industry」である。日本語訳は写真が少ないのでまずオリジナルを貼ることにした。

エントリの中では外国人向けの観光ガイドにTOTOのショールームがオススメスポットとして載っていることに驚いた。確かにこれは面白いかも知れない。

もしあなたが米国人なら、これまで見てきたトイレを思い出してほしい。そのほとんどが、外見も機能も同じで、あなたが5歳のころから何も変わっていないはずだ。実際、何も変わっていない。おそらく、トイレが発明された紀元前2800年から。

さて、温められた便座が、自動的に上下するところを思い浮かべてほしい。電子制御のコントロールパネルがあり、自動洗浄、温風乾燥、脱臭用のファン、人工的な流水音まで付いている。それを米国のトイレと比べてみてほしい。これまでに行った中で最高のホテルでさえもだ。

確かに海外旅行に行くとまともなトイレは滅多に見ない。おそらく最高級のホテルもトイレは大したことがないのだと思う。泊まったことはないけど。

このように、刹那主義もいいものを作ることもある。日々の生活が快適であることは重要なので、食とかトイレとか、極端に言うと猿でもするようなものについては日本人はこだわる傾向がある。一方で、長きにわたって残る偉大な仕事には関心がない。

日本での生活を楽しむなら、自分も刹那主義にどっぷり浸かった方がいいのかも知れない。そうすれば日本のいいところも見えてくる。