インテリジェントな北朝鮮。
シンガポールはスマートな印象はあるけれど、実は人民行動党の一党独裁国家。野党は結構冷や飯ぐらいであり、また野党を支持しするとエラいことになるのだとか。そういうわけで、ちょっと政治的に恐ろしいような気もするのがシンガポール。あんまり幻想に騙されるととんでもないことになるかも知れませんよん。
政治家の力量の差を感じる
日本と比較すると、シンガポールは政治が上手く機能している。日本の政治家ってどうも産業育成って考え方がないようだし、経済にも興味がないように思える。いま一番関心があるのは定額給付金問題?
アジア諸国は国際競争力のありそうなものは、たとえアニメとかオタクっぽいイメージのあるものであっても国家をあげて支援するけれど、日本は基本的に放置している。これは日本は世界でも稀な、個々人の力で成り立っている国だからではないかと思う。多くの国はエリートが国を引っ張っていくのだけど、日本はどうもそうじゃない。トップレベルの能力はそう高くないけれど、平均値が相当に高いと思う。トップとボトムの差の大きい国は典型的にはアメリカで、チップをやらないととことん仕事をさぼる。
経済も同様で、どうも日本の政治家は経済には関心がないようだ。財務大臣は単なる権力闘争のためのポストだし、中央銀行総裁もよくわからない《要職を歴任した》人が就く。大臣で有力者も本当の意味での経済通はそんなにいない。故宮澤喜一が最後の大物で経済通じゃないかなあと思う。でも彼も法学部出身だし、日本では法学部の方が経済学部より地位が高い伝統がここにもある。経済屋も権力ゲームで上に上げたくないならそれはそれでいいけど、プロフェッショナルとして一目置いて欲しい。
そんなこんなで、日本は政府はどうもぬるぽで、そのためか(あるいは日本はトップダウン式なのは嫌いなのかも知れない)平均値で国家を維持しているのに対して、シンガポールは指導者層が見識と一貫性のある行動力を持っているような気がしている。その指導者は優秀な外国人を多く招こうとしていて、これはアメリカの発展を支えた重要な要素でもある。真のアメリカ人とは優秀な移民であるみたいなことを言った人がいるけど、確かにアメリカには多くの優秀な人が渡っていった。でも、最近はテロ警戒でずいぶん専門職ビザも絞っているし、金融恐慌でガタガタだし、アメリカの勢いが落ちているのも確か。で、シンガポールが次に来るのか。
シンガポールはアジアを席巻するのか
最終的にはシンガポールは国土の狭さやそれによる人口問題で頭打ちになると思う。金融とか基礎研究も重要だとは思うんだけど、自分が工学系のせいか、巨額の外貨をがつんと稼ぐのは最終的には工業力だと思う。で、その工業力をシンガポールが支えられるかというと無理のような気がする。
工業力とは自動車とか鉄とか旧重工業ではなくて、例えばMicrosoftとかGoogleとかAppleとかそういう企業を指す。人件費の高い先進国で組み立てラインでネジを締める仕事(実際はもうちょっと複雑だけど)に先進国の人間を充てていたらどうしても途上国に勝てない。勝てないからって派遣に置き換えようとかそういう姑息(その場しのぎ)な手段を採ってはいけない。例えば自動車ならレクサスのような高付加価値なものは残す必要があるだろうけど、普通のトヨタブランドなんかはもう途上国に拠点を移しちゃっていいんじゃないかと思う。研究開発の共同化は可能だろうし、会社を全部途上国に譲る必要はないんだけど、低付加価値労働からはそろそろ卒業しようぜってところ。
どうも国家にも年齢があるようで、途上国は働き盛りの青年期にある。こういうところは一所懸命に働いていい。しかし日本やアメリカは定年退職した国なので、年金暮らしをする時期に来ている。国家にとっての年金とは、それまでに獲得した金融資産だったり、アドバンテージのある技術だったりする。もう組み立てラインでネジを締めている年齢でもないですよと。
さて、工業力。がつんと外貨を稼ぐ基礎研究と応用研究は重要。ここのところ、シンガポールはGDPを高めることを大事だとハッキリ言っていてすごく意味のあることだと思う。
次に、経済の本質は私は《富の再配分》にあると思う。コンビニの店員が世界基準で見て高所得でも別にいいと思うんだ。誰かががつんと稼いで、それを上手く再配分することで、必ずしも高い技術を持った専門家でなくても、その国家で生きていくのに十分な所得が得られるほうがよい。それに、必ずしもトップレベルの研究成果は学生時代から優秀だった人ばかりから出てくるわけじゃないから、そこそこ優秀な人が研究者を望むならばとりあえず研究者をやらせておくくらいの余裕が欲しい。基礎科学の裾野は広くとって欲しい。
しかし、今の日本は莫大な外貨を稼ぐ産業を育成しようともしないし、じゃどうするかと言えば置き換えの利くような労働者は冷遇するという方向に行っているように見える。だから、短期的にはシンガポールはかなり発展し、日本は置いていかれる。
日本が再び台頭するとしたら、長期にわたってあんまりワープアを増やさないことが重要。ワープアの子供はおそらくまともな高等教育を受けられないし、そもそも人口が減ってしまうかも知れない。お金に苦労していると心もすさみ、治安も悪くなる。結果的に日本のいいところである《平均値が高い》ことが損なわれる。そうなれば、政治家はアホだし、平均値も低いしとなったら巻き返す見込みはだいぶ減ってしまう。
日本はトップダウンはたぶん無理だと思う。だから、シンガポールと同じ政策を採るのは期待していないけれど、せめて国民の平均値を下げない程度の政策は採って欲しい。
余談:共産主義
そんなの共産主義じゃないかって思う人もいるかも知れないけど、別に共産主義的発想ではないと思っている。共産主義ってみんなの給料を平等にして優秀な人のやる気を削ぎましょうって発想ってイメージがあるけど、それは違うと思う。たぶん、やつらの言いたいのは「資本家がいるから搾取が起こる。搾取をなくすためには資本家を排除しよう。寝ているだけで大金が舞い込んでくるやつを排除しよう」ということではないか。よくわかんないけど。
個人的には資本家は排除しなくていいと思う。ただ、資本家だけに任せておくと、あいつらチキンだからちょっと景気が悪くなるとすぐに守りに入る。だから、国家も相補的に生産手段を提供していい。国営企業というのは、少し前までの道路公団を見ればわかるように、例えばパーキングエリアの食事のまずいことと言ったらそりゃーもう。それが民営化して少しであれだけ改革されるんだから、国営企業に独占力を与えてはいけないと思う。あくまで相補的に、ライバル的に国営企業を使おう。
余談:バングラディッシュ
沸騰都市でバングラディッシュ出身の人がいたけど、一般的にバングラディッシュは貧しいけれど気概はある国民性だと思う。逆に本当にダメな国民性もある。文句ばかり言っていて働かない(おまえだよって言わないで下さいね)ところも世界にはたくさんある。
バングラディッシュは何かのきっかけで台頭してきそうな気がする。国民の潜在的な労働意欲は高いから、生産手段が提供されればいいんだ。
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