どせいたんさき
- 15 11月, 2008 -
- ばいお, コメント -
- Tags : ばいお
- 2 Comments
土星たん日記と空目してしまったが、ばいお批判が「どせいたんさき」にあったのでコメントしたんだけど、長くなりすぎて、トラバにしておけばよかったと反省。
1つめ
排中律で考えれば、リア充 or not リア充の二元論はあながち非科学的とも言えないよね。それはさておき、ばいおが問題としている根幹には就職活動があるのを理解して欲しい。2chのコピペみたいなものだから、唾棄してもいいんだけど、例えば野村のコピペとかあるよね。ラグビー部出身が優遇されるとか戦闘民族とか。あれはまんざら嘘じゃない。今の日本の企業社会というのは、ひどく「ドケチ」になっていて、雇用も派遣などで安い賃金と福利厚生で買いたたく。この同一線上に基礎科学の軽視があると私は思う。例えば数学は暗号理論などで現代社会には不可欠だけど、アルゴリズムに特許なんかとれない(取ってる国もあるけどさ)ことをいいことに、成果だけいただいて、基礎科学には金を払おうとしない。自分の専門だとNTTの研究所とか、IBMの基礎研とか、本当に限られた企業以外は見向きもしない。ぶっちゃけ、ほとんどの企業は学生に学力なんか求めていないのさ。もし一流大学基準の研究能力とか学力を求める選考をしたら、学生の推定90%は無職になっちまう。だから、企業はもっとつまらないことを求める。いわく、サークル活動は何をしましたかとか、学生時代に成し遂げたこと(研究を頑張りましたはダメだそうだ)とか、そういう選考だ。こういう選考の場合は、大学に入ったら人のノートをコピーして要領よく単位を取って、サークルにバイトに恋愛にいそしんで、でも学力なんか付いていませんって人が優先的に採用される。学力テストもあるけどSPIなんて仮にも大卒を採るのに小学生レベルの算数しか出さない。また、リクルーターとか1次面接の担当は入社2,3年目の若手がやることが多い。結果として同類採用が行われるんだ。ばいおの憤りはそういうところにあるんだと思う。
2つめ
本当はばいおがこのエントリについて反論を書くのがいいんだけど。。。何がクソかというと現代の採用の歪みじゃないかな。ばいおもそうだけど東大生はまあエリートが多いんだ。特に理系は研究室でしごかれるから最低品質保証はできていると思う。文系は知らないけど。ばいおは香山リカの言う『就職が怖い』ではなかったし、ちゃんと卒業までたどり着いているし、そんな最低品質保証のできている人が、なぜ一社からも内定を取れなかったか。ここは細かい論拠を書くほどスペースがないから結論だけ書くけど、いわゆる就職氷河期で企業内の年齢ヒストグラムを取ると30歳前後がひどく凹んでいるため、40代の下が20代という会社は多い。同じ日本語話者として話はできるが「会話」ができない。よく言われるのが入社3年で辞める若者だね。企業も途方に暮れた。結果的に台頭してくるのが人材コンサルティングと言われる業種だ。そいつらが採用の指針のアドバイスから、入社後の迷走したフォローまでする。意外かも知れないけど「就活」って言葉も、エントリーシートも、SPIもごく最近まではなかったんだよ。で、人材コンサルティングの台頭の結果、ばいおの言う「リア充至上主義」的な採用が伸びてきて、かつ画一化している。多様性がないから、ばいおみたいなキャラだと、どこを受けても受からない。受けたところ全部内定って人もいる売り手市場で、100社受けても1つも受からない人もいるんだ。これはどう考えても異常だ。こういったことを社会学的な問題として捉えている人はあんまり多くない。京大名誉教授の橘木俊詔氏とかごくわずかだ。多くの場合「おまえがダメだから内定取れないんだ」みたいになじられるんだ。さらには「東大生は勉強はできるけど使えない」とか「コミュニケーション能力が人間にとって一番大事」とか、そういう論調が伸びてくる。コミュ力に長けていることが、リア充と解釈してもたぶんいいだろう。こういう場で言われるコミュ力というのは、人の群れの中にどんどん飛び込んで、女を口説いて、飲み会大好きで、ということと似ているから。
研究頑張りましたは実際には厳しい。冬が近づくと一部の外資系で採用が始まるんで、就活セミナーみたいなものも増える。模擬面接とかエントリーシート添削があるから、そこんところに研究の思いの丈をぶつけてみて反応を見るといい。建前としては「学生は勉強して当然なので、勉強しかしていないのは論外」なんだけど、実際には勉強なんかしていない大学生の方が大半。にもかかわらず、彼らは大抵は仕事が見つかる。売り手市場だと30歳で年収1,000万円に届くような会社にこういうコミュ力だけの人が入っていく。
ソニーとか一部の企業は選考が進むと、コの字型に面接官が待っていて、ぽつんと真ん中に座って面接なんてのもあるそうだ。しかも面接官は何とか技術部長とか時給換算にしたら高い人が30分から1時間、しかも複数名相手してくれる。そういう人が相手なら研究の話をうんとしても大丈夫だ。いくら大学院で頑張っていたとしても、相手の方が実力が上だからね。しかし、そこまでたどり着かないとダメだ。入社2年目くらいだとそこまで相手を見抜く力はない。もっとひどいのはまるで自分とバックグラウンドの違う人が選考に当たる場合だ。日本の企業は勝ち抜き戦だから、そこで敗退すると技術部長に自分をアピールする機会がない。少し前に、三菱UFJのリクルータが女子大生を呼び出してレイプしたってニュースがあったけど、あんなの氷山の一角だと思うよ。学生は若手面接官やリクルータに気に入って貰おうと必死だ。あいつらの好みが一次選考にかなり強く影響するからね。逆に、そういう若手に嫌われるタイプは上に行けない。ところで、最近の金融混乱ですっかり悪者のゴールドマン・サックスとか外資系はいいよ。ほんと、つまんないこと聞いてこないし、時間をかけて面接してくれるし、360度評価というか、一人に嫌われても他の面接官に気に入られたらチャンスがある。13日の朝日新聞にアスペルガー症候群の人の扱いについて書いてあったけど、やはりGSは単に排除するだけじゃなくてチャンスが与えられるとあった。年収1億円とか、そういうのばかり取りざたされた外資系金融だけど、企業としてやはり優良だと思う。日本もこうなればいいのに。
最近、学長連合かな、そういうのが企業に就職活動について文句を言った。最近は3年生(M1)の夏くらいからセミナーにインターンをして、4年(M2)の秋くらいまでなんだかんだで振り回す。三菱UFJの他社の選考妨害なんかも有名だよね。実質的に3次か4次で内定が決まっているのに10回以上呼び出す。その日は都合が悪いからと断ると不採用になる。三菱は他社の選考がありそうな日に狙って呼び出すことによって内定者に逃げられるのを避けているんだ。しかし、これって真面目な学生にとってはひどく迷惑だ。研究室の用事があるからとか言っても通じない。向こうから見ても本当か、嘘をついて他社の選考を受けているか判断できない。海外旅行に無理矢理連れ出すのもあるよ。こうして、大学生活4年間のうち2年間近くは就職に取られてしまう。これでは勉強なんかできやしないって、学長が文句を言っている。学部はまだいいけど、修士課程で就活以外に何もしていない人は結構いるはずだ。もちろん、4月に1社だけ受けてさっくり内定って人もいるけどね、特に最近の売り手市場では。ともあれ、学部後期や修士課程をまるごと潰してしまう選考が横行している昨今、学生に真面目に学力なんか求めていると思うかい?まあ、企業の中の人は別のことを言うよ。人事部の都合(内定者に逃げられたくない、外れは引きたくない)のと、現場の人の都合(ちゃんと研究できる人が欲しい)がマッチしていないことはあるからね。
ばいおが社会学専攻だったら、この問題をもっとクリアに、社会に突きつける形で記事が書けたのかも知れない。と言っている間に世界は景気後退になり、内定取り消しも相次いで(ひどい話だ、学生の内定者は拘束されるのに)、来年以降の採用は絞られる見込みだ。第二、第三のばいおがたくさん出てくるのは想像に難くない。もっと問題は10年後だね。また年齢ヒストグラムの凹みによって、どんな選考が流行ることか。
- 著者/訳者:ティモシー フェリス
- 出版社:青志社( 2007-09-21 )
- 単行本:255 ページ
- ISBN-10 : 490385311X
- ISBN-13 : 9784903853116
- 定価:¥ 1,470
- 著者/訳者:ティモシー・フェリス
- 出版社:青志社( 2011-02-03 )
- 単行本:640 ページ
- ISBN-10 : 4905042097
- ISBN-13 : 9784905042099
- 定価:¥ 1,995
- 著者/訳者:篠山 半太
- 出版社:PHP研究所( 2012-06-16 )
- 文庫:340 ページ
- ISBN-10 : 4569678467
- ISBN-13 : 9784569678467
- 定価:¥ 720



はじめまして。どせいと同学科の者です。コメントから飛んできました。
そういえば,経済学にはスペンサーの「シグナリング理論」がありますね。大雑把に言うと,大学が学生の能力を上げることは仮定せず,学生は自分の能力を示すために大学に入る。ただし,4年間の学費・食費などのコスト(高卒で働いた場合の賃金も含む)をその後自分の能力で得られる賃金で補填できる場合のみ大学に進学し,そうでないものは進学しない。企業は多数の学生を個別に見るより,能力をラベルする学歴を見て採用した方が効率が良いという話だった気がします。どんなに能力があっても大卒というシグナルを持っていなければ意味がないわけですね。詳しくはググって頂いた方が分かり易いと思います。
都合のいいことに日本の大学は,有名大学の場合,入るのが難しく出るのがラクなので,このシグナリング理論の仮定がよくあてはまると思います(出るのがラク=能力の向上がないとするのはいささか安易ですが)。さらに,「企業のエントリーで大学名によって満席か否か表示が変わる」なんて話はこの結果に相当しますよね。「○○大卒」という肩書きでその人の能力を計ろうとしているわけですから。
特に主張のないレスですが,ふと昔勉強したこと思い出したので書きこんでみました。
シグナリング理論はスペンサーじゃなくてマイケル・スペンスでしたf^^;